航空管制官、再受で医学生なう。

航空管制の話題を中心に。航空と医療をつなぐ。

搭乗訓練は普段と違った緊張を強いられるお仕事

 花金なので宅飲みしました。管制官時代よりも大学生の方が疲れるのはなぜでしょうか?ハイボール1杯でおしまいにしました。過去の私を知る人ならば「なんでそんなに飲まなくなったの?」と絶句されそうです。飲み方が大人になったと言ってほしい。Uniform Sierraです。

 

 最近Twitterを見ていると、航空管制官採用試験受験者の中には「管制官になったら搭乗訓練が楽しみ」という方がちらほらいらっしゃるので、搭乗訓練について書きたいと思います。

 

 搭乗訓練とは、運航中のコクピット航空管制官が同乗してパイロットの仕事を見学し、意見交換する機会です。最低でも4年に1回(3年だったかも?)の訓練が義務付けられています。
 私は在職中、計4回搭乗訓練に参加しました。在職期間に比べて乗りすぎです。高所恐怖症なら大人しくしておきなさい!と思いますけど、現場に出ると運航中のパイロットの仕事のタイミングが気になり(特にターミナルレーダーの誘導中)、ついつい申請する頻度が多くなりました。

 搭乗訓練の流れは、以下の通りです。

①搭乗訓練予定の3か月くらい前に、自分の勤務地から最も近い空港(空港勤務なら勤務地)に就航する定期便(往復日帰り)を自分で選択、局に申請。

②1か月くらい前に訓練の可否について局を通じて回答が来る。

③各航空会社からの事前の指示に従う。

④当日、航空会社の指示に従ってコクピットに同乗。

⑤お仕事の邪魔にならないようにパイロットの皆さんから意見聴取。

⑥帰ったら報告書を提出。

という流れです。

 

鬼メンタルな管制官でも緊張しちゃう搭乗訓練のポイント

①航空会社の事務所内待機
➡職員の皆さまの「何だろう、この知らない人。うちの会社と違うID着けてるし……」という目が辛い。不審者ではございません。そしてターミナルの管制官は椅子に座り慣れていないので、椅子に案内されると落ち着かない。立ってうろうろしている方が落ち着く。

②機内に案内された後
パイロットは機体点検で外に行くので、すぐコクピットには入れず、機内のテキトーな位置で待機。キャビンクルーの皆さんのお邪魔になるのが申し訳なくて居心地が悪い。キャビンクルーの方に出発前の準備についてお話を聞けたりすると嬉しいけど、国内線は次の便の準備で忙しいのが分かっているので、こちらから話を聞くのは気兼ねする。あぁ、いつ意見聴取すればいいのかな……。

③キャプテンが厳しめな人
➡コパイへの指導(しかもキツめ)が入る。勿論搭乗訓練としては非常に有益な情報が多いけれど、人間って、叱られている他人を見るのは居たたまれないでしょ……?

④全員外国人クルー
➡私の周りは「外国人クルーだと英語が心配……」と敬遠する管制官が多かったです。私見ですが、外国出身のクルーは、とても気さくな方が多く、仕事前に「いつでも遠慮なく質問してください!」と言って下さるので、遠慮がちなUSの場合はインタビューしやすかったです。でも、英語が苦手な人は緊張しますよね……。

 

 なお、某ドラマの搭乗訓練の回に出てきた強面系キャプテンという人種は少ないと思います。実際の運航の現場の強面系クルーの比率は不明ですが、ともかく、いきなり
管制官って勉強不足で困るんですよねー」
と喧嘩を売ってくる人に遭遇した、という修羅場な搭乗訓練は聞いたことがありません。せいぜい飲み会陸で、
「○○空港の管制官が……」
とイキったオヤジパイロットが語りだす印象です。そういう席は、管制官だって行きたくもないと思っているレベルの飲み会だから、厄介な人が来て当然だと思ってたけど、付き合わされるのはマジ人生の無駄だった。当然割り勘だから何も美味しい点は無いし、タクシー代かかる時間まで拘束されて本当に迷惑だった。中身の無い話しかできないオヤジに付き合わされて、予想通り仕事上役に立つ話は全く無くて、睡眠時間を削られて、迷惑以外の何物でもない。そんな時間があれば私は青チャートを解いて医学部受験準備をしたかった。そもそもこの無駄な飲み会に払ったお金があれば某市まで模試を受けに行けるんだけど(以下略)。です。ふぅ。長々と毒を吐いてしまいました☆

 

 簡潔にまとめると、
「搭乗訓練、超楽しみ!」
という航空ヲタクの皆さんは、搭乗訓練に期待しない方がいい。面接で「搭乗訓練が楽しみです!」なんて言ってしまうと、そもそも本来業務ではないので「あなた何がしたいんですか?」と突っ込まれますよ。
 パイロットの仕事を邪魔せずに、運航中に話しかけるというのは至難の業。それでも報告書に書かなければならないので、本当にドキドキしっぱなしの仕事。それが搭乗訓練なのです。

 

 それでは、Good day.