航空管制官、再受で医学生なう。

航空管制の話題を中心に。航空と医療をつなぐ。

管制官の気象の見方① VIS(視程)に関わる要素

 電車でとある温泉地へ。「雪の残った山を、春の日に歩くのは心地いいなぁ」と、のんびり歩いていたら……鼻水が止まりません。見渡せば、一面の杉林。早々に温泉地から退散し、帰り道にドラッグストアに寄り、フェキソフェナジン塩酸塩の薬を購入しました。とうとう花粉症になってしまったようです、Uniform Sierraです。

 

 拭き掃除をすると、黄色い粉が付いてくる時期になりました。管制官時代の私が働いていたエリアは、毎年1月くらいになると大陸からいろんな物が飛散してくる場所でした。なので春先は、視程(Visibility:VIS(ビジ)と称すこともある)が悪いことこの上ない。PM2.5が大量にやって来る時期は喉の痛みが止まらないし……。

 管制官は基本的に、始業前のブリーフィングで今日の気象について情報共有しています。チーム内の当番の人が、気象庁の職員さんが詰めている部屋(気象現業室)に行き、当日の担当さんに必要な情報を教えて頂きます。

 

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①VIS(視程に関わる要素)

 正直なところ、IFRで飛ぶ定期便のパイロットの皆さんは、荒天が原因ではない視程悪化は、あんまり興味がないだろうと思うので、今回はVFRで飛ぶ人向けの話だと思います。
 私のいた官署は、VFRの訓練が多いため、VISはとても気になる情報でした。
「そんなのTAF見れば十分じゃん」
と仰る御仁もいらっしゃると思いますが、
黄砂とPM2.5、マジヤバイから。

 視程10km以上という情報であっても、管制官にとっては管制間隔を設定するのに、少しでもよく見える状態が望ましいことは言うまでもありません。
「空港から〇マイルならパターンに入るまでは、あと〇分だな」
と見当を付けて管制するのがスタンダードですが、

・教科書通りにパターンにエントリーしない
・そもそもポジションリポートが間違ってる、ズレてる
・上空の風の影響が大きすぎる
……などなど、VFR機は個体差がありすぎるのです。そのために目視確認が大切です。 

TAF
運航用飛行場予報気象通報式(Terminal aerodrome forecast)の略。
6時間ごとに更新される、主要空港の気象予報。

 私が参考にしていたのは、九州大学応用力学研究所・気候変動科学分野で開発しているSPRINTARSです。気象庁の職員さんに教えてもらったページで、精度とか細かいことは置いておくと、地上の飛行場においてエアロゾルの飛散予測を参考にする上で、とても有益です。何よりもインターネットで表示するときのエラーが少ないし、可視化しやすい動画表示となっています。

SPRINTARSホームページ

大変ありがたいページです。週間予測(一般)→予測動画→東アジアで簡単に見られます。

 多くのオジサン管制官が「そんなに細かく占い(管制官の間での「気象」の隠語)の勉強するより、管制の勉強しろ!」と言うと思います。しかし、気象の変化を細かく観察することは航空機側の利益になるので、疎かにできない要素だと確信し、私は他の管制官に比べて、かなりたくさん勉強しました。保安大に来ていた気象の先生や、同じ職場だった気象庁の職員さん達には、私の質問で多くの時間を割いて頂きました。今となっては、せっかくだから気象予報士の勉強もしておけば良かったかな、と思いますが、航空気象は一般気象と性質が異なりますし、当時も医学部受験勉強を続けていた立場としては、無理なタスクでした。

 次回以降は、風向、雲(雲高)について、管制官が気にするポイントを紹介したいと思います。
 それでは、Good day.