航空管制官、再受で医学生なう。

航空管制の話題を中心に。航空と医療をつなぐ。

モンゴル旅行記③ 元管制官、自分の搭乗する飛行機でダイバートに初遭遇。

 大学の交換留学で昨年の8月、モンゴルへ渡航したときの話題を備忘録的に連載。
前回まではこちら。

atc-medic.hatenablog.com

 

 私の心配をよそに、CA422便は定刻出発。

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久しぶりの飛行機を満喫。一人で
「Traffic, 2 o'clock, x miles, parallel opposite direction, 3000 above you, B777.」
「Traffic in sight」
と懐かしい遊びをしていました。その熱心さをなぜ現役時代に持ち合わせていなかった?

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 北京のビール。中国人留学生がよく「中国のビールはあんまり美味しくない」と言っているので、試してみました。確かに日本のビールより軽めの味。でも私は結構好みでした。

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 前泊したホテルに朝食がついていたので、予約時に通常メニューから「果物皿」なるメニューに変更(公式サイトならでは)。夏なのに、夏らしい果物はメロンくらい。日本発ならスイカくらい食べたかった。

 

 北京に着いたら待ち時間で何か温かい食べ物を食べよう、中国は初めてだから食べる物は何でも初めての本場の中華の味だなぁとワクワクしながら、ひと眠りしました。

 

 ふと目を覚まして腕時計を見ると、到着予定時間を1時間過ぎていました。なんだか他の乗客の様子がおかしい。間もなく中国語のアナウンスが入り、周囲の乗客が中国語で何か言い始めました。雰囲気的に落胆の様子。うわ、嫌な予感。続く英語アナウンスの要旨は以下の通り。
「北京空港が雷雨のため、この飛行機は『シェンヤン』空港に一度着陸します。北京空港は現在1時間に1機のみ受け入れています。『シェンヤン』に降りた後、再度北京に向かいます。」
……1時間に1機?ノンレーダーでもあり得ないセパレーションだろ!……多分乗客の中で一番歪んだ怒りを覚えていたと思います。海外旅行中にそういう怒りを覚えるのは管制官の職業病。しかも私は『シェンヤン』を瀋陽だと誤解して(実際は咸陽だった)「なんでそんな内陸まで飛んで来たんだ!このままウランバートルに行った方が近いじゃないか!」と訳の分からない怒りまでこみあげてきました。(キューブラー・ロスの第2段階)

 

 ああ、これはもう諦めるしかない。そういえば私が働いていた空港は悪天候で有名だったから、レーダーやってる最中によくダイバートの処理も重なったよな……。悪天回避のHDGリクエスト、「CATⅢで降りるから早く降下させて」のリクエスト、そこに「Request divert to xxxx airport」のリクエスト。ああ、今私はかつて私が処理した飛行機の乗客の気持ちを味わっているんだ……。(キューブラー・ロスの第5段階)
 次第にそんな気持ちになりました。

 気持ちを切り替えて、乗り換えに関わるので遅延状況の詳細をCAさんに聞こうとしたら、英語が通じない。そういえばさっきのミールサービスのときもずっと中国語で話されたっけ……。

 もう泣きそう(╥_╥)

(続く)