航空管制官、再受で医学生なう。

航空管制の話題を中心に。航空と医療をつなぐ。

管制官の気象の見方④ 霧(ILS高カテゴリー)

 霧の多い時期になると、アドレナリンが出ます。Uniform Sierraです。

f:id:atc_medic:20180411175533j:plain

フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)から利用 ©おさぴー

 

管制官の気象の見方④ 霧

 管制官トラフィックだけでなく、空港周辺の気象の変化も観察しているのですが、霧の出方は一様ではないので、とても判断に困ります。気象さんがIMCの数値を観測してくれれば「天気が悪い」とこちらも航空会社も納得できるのですが、霧の出やすい地形にある空港だと、ピーカンでVSL APCHしているのに、FNLでいきなり霧の中に入ってしまってG/A、という事態もあります。TWRから見る遠近感だと、なかなか判断に難しいものがあるのです。
 正直なところ、霧について管制官からアドバイスできることはございません。
我々のアドバイスでAPCHを開始されたのに、残念ながらG/Aという事態になった場合、責任が取れないからです。したがって、カンパニー無線で地上職の方のアドバイスを受けてPLTが判断し、進入許可を求めて頂きますとクリアランスを発出できる、という流れになっております。管制官は実際の霧の変化に加えて、今後どうなるか雨雲エコーの入り方で何となくの見当をつけているだけなのです。

 

 実は私、ILS高カテゴリー空港で勤務、という貴重な経験をしております。ILSとは、航空機が計器進入をする方法の中で、そこそこ精度の高い進入方式、とご理解ください。
 ILS高カテゴリーは、国内では濃霧が発生しやすい空港(高台の上にあるような場所)に設置されています。設定された気象の基準に準じて、管制官がILS高カテゴリー進入の準備態勢を空港内の関係部署に要求します(パイロットから要求する場合もある)。

「ILS高カテゴリーなら濃霧でも着陸できるんでしょ?でもこの前濃霧の日に利用したら、X社だと着陸したのにY社だと着陸しなかったよ!なんで???」
と疑問に思う方がいらっしゃることと思います。気象条件が進入・着陸のタイミングで微妙に違っていた、という可能性もありますが、意外と知られていないのが、パイロットの資格の問題です。

 ILSは大きく3つのカテゴリーに分類されており、Ⅰ~Ⅲで分かれています。上位であるカテゴリーⅢの資格を持ったパイロットが乗務するX社の飛行機だけが着陸できた、というケースが考えられます。


 巷では、CAT Ⅰでも思いっきり減速して、「『ランディング ミニマーーーム』と長めにコールするのが良い」という冗談もあるようです。今も使ってるかは存じ上げません。

 

 以前、「CAPTAIN アリス」という漫画の中で、先行機がG/Aして霧を蹴散らし、後続機に滑走路を視認させて無事に着陸させる、という話がありました。霧に悩まされた経験のある航空職種なら誰しも夢見るシチュエーションです。このネタを考えた人、いくらフィクションとはいえ柔軟すぎる発想なので、マニュアルを重んじる普通の航空会社のパイロットではなさそうな気がしました。

 それでは、Good day.