航空管制官、再受で医学生なう。

航空管制の話題を中心に。航空と医療をつなぐ。

モンゴル旅行記⑰ 馬乳酒の頂き方

 大学の交換留学で一昨年の8月、モンゴルへ渡航したときの話題を備忘録的に連載。前回はこちら。タグ「モンゴル」からもご覧いただけます。



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 モンゴルの夏のおもてなしの席に欠かせないのが、馬乳酒(アイラグ)。馬のお母さんは夏のシーズンに母乳をあげるため、夏だけ作られる飲み物です。

馬乳酒 - Wikipedia

夏の食事は馬乳酒、と言われるほど、老若男女が愛飲しています。

 

~作り方~
 家畜の革で作った袋に馬乳を詰め、棒でゴリゴリ混ぜ、絞って作ります。このときに発酵の元となる物を入れるそうですが、私達がお邪魔したお宅は、馬ではない家畜(ヤギ?)の発酵乳ver. と白ワインver. があり、我々に出したのは「どっちか分からない」とのことでした。
 寸胴鍋に入って保管されていました。発酵するので、蓋はせずに布をかけていました。布に虫がうじゃっとくっついていたのは、また別なお話。

 

~飲み方~
 小さめの冷麺用どんぶり、といえばいいのでしょうか。そんな見た目の、厚手のステンレス(銀かもしれない)で出来た器になみなみ注いで頂きます。この器は、一家の記念に作ることが多いそうで、大体の物に刻印があります。
 モンゴルでは一つの器で回し飲みをする習慣があるそうで、着席順(年長者、男性が先)に回ってきます。潔癖症の私はその時点で結構無理。潰れるまで延々と飲む習慣があるそうなので、今回渡航前に大学の担当教員から注意喚起がありました。加えて、馬乳の成分を消化する酵素を日本人がほとんどもたないため、下痢を引き起こすと言われています。

 実は今回、現地の引率してくださった先生の提案で、
「モンゴル式じゃんけんをして、罰ゲームで飲みましょう」
という事態になりました。
 そもそもモンゴル式じゃんけんのルールが分からない我々。「判定は私(現地教員)がします」というので、本当の勝敗が分かりません。じゃんじゃん負ける日本人。「一気に飲み干せ!」と言われるのもツライ。
 悪ふざけに敏感な私、途中で「お腹が痛くなったので」と断りました。現地の学生・教員が「もっと飲めるでしょ、もっとゲームを続けましょう」と勧め、「申し訳ないけれど、お酒はこのくらいで抑えておきます」と返す私。きっとモンゴルの文化としては受け入れがたいものなのかもしれませんが、私、それなりに大人なので旅先での危険を冒すつもりはありません。

 

 ちなみに現代のモンゴルでは、
「外国人は酒を飲み過ぎることをあまり良しとしない」
「馬乳酒でお腹を壊すことがあるので、無理に勧めない」
ということが、遊牧民にも認知されているそうです。
 したがって、
「飲み慣れないので」
と申し出れば、失礼には当たらないと解釈されるそうです。但し、酒癖の悪い人は多いみたいなので、そういう人とは無理せずに距離を置きましょう。

 

 後日談。大学に帰ってから、ある教授にモンゴルの感想を尋ねられました。
 その先生は、唐沢寿明白い巨塔の大河内教授を彷彿させる、THE・学者という表現がピッタリな威厳のある方ですが、気さくに学生に声を掛けてくださるタイプなので、廊下などでお会いすると、よくお話をしていました。
 モンゴルの話の中で「いやぁ、お酒を断るのに困りました。モンゴルの人強引なんですもん」とぺろっと言ったところ、それまで私の話を微笑ましく聞いてくださっていたはずの教授の眼の奥が光り、
「お酒を断ったのですか?馬乳酒を?それはいけませんね」
「私(注意:一人称は「わたくし」)がモンゴルの遊牧民のゲルを訪れたときは、既にごちそうが沢山出ていたので、ウォッカをガンガン飲みましたよ。馬乳酒は食事ですからね」
ウォッカは一気に飲み干すのがマナーです。さすがに私もフラフラになりましたが、そのような席でお酒を断ってはいけません。先方に対して失礼です」
「体調が心配だったのですか?モンゴルではお酒を勧められると聞いていたでしょう。体調を整えた上で渡航しなければいけませんよ」
と畳みかける、畳みかける(笑)。
……すごく良い先生なのですが、この辺の感覚は昭和な感じだし、天才の発想はナントカと紙一重だと思いました(笑)。